昨晩は、「日本橋福徳塾‐商家は女次第‐」と題したセミナーを受講・取材させていただきました。
主催はNPO法人江戸しぐさで、講師は桐山 勝同副理事長です。
まず最初に、江戸時代の人口比率について説明があります。
中期以降は男女比が2:1となりますが、初期段階では3:1とも言われています。
「だからね、裏長屋に嫁いでくる光景は、宝くじが当たった事と同じ位のできごと」
桐山講師は、こう話すと「となれば、女性の立場が強かった事は想像にたやすい」ともしています。
事実、550通ほど現存する三行半(みくだりはん)を読むと、そのほとんどが
結婚時に女性が男性に書かせた内容であったとも説明します。
この女性の強さは、当然、商家にも当てはまり、落語や川柳に登場する女将さんたちを取り上げながら解説。
一番興味深かったのが江戸時代の経営の秘伝書「分限玉の礎」にある商家の女房心得について。
1 家内を見回り、費(つい)えなきように守るべし(ムダを省く)
2 もの嫉(ねた)み、中言(ちゅうげん)、告げ口を慎(つつし)み、物事意地悪く人に当たるべからず
3 下女丁稚(げじょでっち)を使い者と侮るなかれ、別して心付け、それぞれに致すべし
4 仮にも男体(なんたい)したる者と囁(ささや)き小話忌(い)むべし
5 己が器量を鼻にかけ、不埒(ふらち)の所存あるべからず
6 夫の家、始貧(はじめひん)にて後栄えたりとも、高慢顔無用たるべし
7 夫の家、始宜(はじめよろ)しく後零落(おちぶ)れたりとも悔(くい)るまじ
8 身代(しんだい)不相応(ふそうおう)の服装、櫛、笄(こうがい/かんざし)用ゆべからず
9 芝居見物、遊山(ゆさん)等にたびたび出で世間に顔見られること嗜むべし
とまぁ、ここまでですが、これはもう女房だけではなく、商売人、
もしくは人として必要な要素なのかな、などと考えます。
ただし、これらはあくまでも心得であるので「するべからず」と言うような否定形が多く
読んでいますと、確かに仰る通りですが、いささか息苦しくなってしまいます。
しかし、この心得を守っていれば失敗しなかった経営者は、多いと思います。
例えば1番は日本の租税制度を甘く見ていた小室○哉氏だし、
3番はグッド○ィルの折○会長、5番は器量をウツワと考えることで東○インの元社長などが当てはまります。
ごくごく当たり前の事ですが、いつの世も人の行動は変わらないものですね。
先人たちの忠告として重く受け止めておきたいものです。
では。
NPO法人 江戸しぐさ
http://www.edoshigusa.org/