今回、ちょっと長くなってしまいました。ごめん。
経営とは人材教育。そんな事を痛感した経験です。
回転すし屋に行った時の話。
甥っ子二人と、そのお母さん。嫁とオイラと言うメンバー。
入ったお店は某チェーン系で、別段、目立った特徴がある訳でもなく、
だから、目についたから何となく、そして、食欲を満たすだけと言うのが来店動機です。
しかし、入ってみますと、まずホールの若い女性スタッフが応対してくれるのですが
あいさつと共に「元気の良いお子さんたちですね」「ちょっとだけ待ってくださいね、テーブル席片付けますから」
みたいな会話も2・3あり、恐らく、この何気ない言葉をかけられ事が、双方の距離感を縮めたと思うのです。
相手の懐に対して瞬時に入る術と言うのは、
自分が認められている、もしくは認識していられる事のメッセージ発信なのかもしれません。
名前を知っているお客さんでしたら、名前で語りかける方法が、その代表例。
そしてテーブル席に案内されますと、スマップの草薙君に似ている若い板さんがオイラたちだけではなく、
甥っ子に対しても、あいさつしてくれます。
最初は、甥っ子がオイラに食べたいモノを伝えるという注文でした。
そして、マグロが手渡される度に、板さんが笑顔を振りまくと
次第に甥っ子が自分自身で「マグロくださーい」と直接、注文するようになります。
このような光景を見ていて感じたのは、板さんもお客との距離感を縮める術を身に付けている事。
しかも、しばらくしますと「いっぱい食べますねぇ~。すごいなー」と甥っ子に話しかけつつ
今度は「実は、今日はメニューにない本マグロが入っているんですよ」
と、オイラたちのテーブルだけに聞こえるように、ささやきます。
もうこうなりますと、次からは「本マグロくださーい」と甥っ子と一緒に嫁と姉も注文しています。
なぜ、ここまで空気感が良い店なのかと観察していましたら、この板さんを中心として
接客に連携が取れている事が窺い知れました。
恐らく、目の前にいる板さんが店長です。彼を中心として人が動いていましたから。
そして、複数のスタッフによる作業の場合、かならず「ありがとう」もしくは「ごめんね」と笑顔。
つまり、店長の笑顔と感謝の言葉がスタッフを通じ、その連鎖が繰り返され、
それが、全体の空気感に繋がり、しかも一番敏感な子供たちが、その雰囲気を察し、
最終的には、そこから大人たちにも感じ取れたと思うのです。
その証拠に、結局、甥っ子たちはマグロを食べた数の新記録を見事達成(汗)。
帰宅後、お礼メールを送ろうと思い、回転すし屋のHPを見ますと、スタッフ教育の取り組みが掲載されており
額面通りは受け取りませんが、少なくとも今回伺った店舗に限っては、見事に実施されていました。
経営とは何ぞや。
いつもお世話になっている古田土会計士事務所所長の古田土 満所長は
「人を育てる事。モチベーションを高める事」と言います。
また、ワタミ㈱の渡邊美樹社長は経営セミナーで「社員の成長が利益を生む」と語ります。
さらに「リーダーになる人のたった一つの習慣(著・福島正伸)」には、世の経営者から時折聞く
教育してもスタッフが退職されれば終わりと言う意見に対し
お店や会社が成長した時、退職したスタッフが宣伝マンになる事もある、と持論を展開しています。
もっと言えば、近江商人の格言には「先義後利栄」つまり、義を先にし、利を後にすれば栄えるともあります。
オイラは経営者ではなく、一介の中間管理職なので、上記の言葉は現場で必死に取り組んでいる方々からすると
机上の空論に聞こえるのではないでしょうか。
しかしながら、先週末、一定の地域でブランドが構築されているすし屋に甥っ子と行ったのですが
冒頭の回転すし屋に比べ、明らかに食べる量、客単価が違いました。子供は正直ですね。
店内のスタッフの動きを見ますと、ただ黙々とすしを握る事に終始徹底し、何となく重い雰囲気。
入口に一番近い場所にいる年配の店長らしき板さんの振る舞いを見ますと、違和感を覚えてしまいます。
スタッフ間の感謝の言葉が、空気感を生み、そして利益に繋がる。
と考えると、やはり働くスタッフの人間力が利益に大きく影響していると思うのですが、どうでしょうか?
だからこその「経営=スタッフ教育」である事が窺い知れます。
そうそう。ちょっと前に、こんなキャッチがある電車の中吊り広告を見ました。
「相性の良いすし屋の見付け方」
相性が良いと言うのは何を指すのでしょうか?
握る技術(カット技術)? ネタ(デザイン力)? スタッフ全体の接客、もしくは雰囲気(シャリ)?
松下幸之助氏の「松下電機は人を作っている。あわせて家電も作っている」と言う言葉がよぎります。
そんな事を考える今日この頃。
では。