理容師カフェ‐小さな理容室の販促物語‐

家族経営の理容室が日々、行なっているちょっとした宣伝事例を情報共有します。

ヘアサロンのリニューアル①

今月はヘアサロンのリニューアルと言う企画を進めている。

埼玉県内で数店舗展開している某ヘアサロンを取材させてもらった時は、貴重はお話を聞いた。

そのサロンは元々、理容店。

業態を少しずつ変化させ、その度にリニューアルを行なっており、

今となっては、男性・女性を問わないヘアサロンとなっている。

その変化の過程は①理容店→②価格を低めに設定し、女性の若年層を意識したヘアサロン→

③価格を高めてメニューの幅を広げたサロン→④落ち着いた感じのヘアサロン、となる。

「改善箇所を見出し繰り返し実行したら、現段階の業態になった」と言う経営者は、

「そもそも、スタッフがレディースカットの練習を行なっており、その実践の場にしたかった」とも話す。

それが、①から②へ進む時の状況だ。

つまり、多くの女性のお客さまを集客し、スタッフ達に経験を積ませたかった、と言うのが目的である。

内装・外装をリニューアルし、見事その目的は達せられたのだが、ここで問題が生まれる。

「客数は多くなったのだが、リピートと客単価が伸びない状況が続いた」。経営者は、そのように当時を振り返る。

カラーやパーマなどの顧客が少なく、どのように行なえば改善できるのか。

そしてなによりも、スタッフに、より多くの経験を積ませたい。

そう考えた経営者は、再びリニューアルを行なうと同時に、価格を従来よりも高く設定し、メニュー数も増やした。

これが②から③の段階である。

これも思惑通り事が運び、リピート率と顧客単価が高まった。

この段階になるとスタッフたちの意識も向上し、もっと改善すべき箇所はないのか、

と言う事を自発的に考えるようになり、日々、研鑚を積むようになった。

「ミーティングを重ね、技術だけではなく、接客やアプローチ方法も色々と話し合った」。

「最初の頃は予約の電話を受ける際も要領が悪くて、指名のスタッフを聞く事すらも恥ずかしかった」。

正直に、そのように話してくれた。

だが、取材中の店内の雰囲気を見ていると、スタッフたちが活き活きと働いており、

そこには笑顔がたくさんある。

当時の悩みなど、微塵も感じさせられない光景である。

そして、スタッフたちのレベルが向上した事を確認した経営者は、

もう一段階のステップを踏む決意をして、再びリニューアルを行なった。

それが③から④だ。

「ワンランク上のお客さまへの対応を、スタッフたちに経験させたいから」。

それが目的であるという。


もちろん、その過程では、サロンのコンセプトに同調できず残念ながら去ってしまったスタッフもいる。

しかしながら、それ以上に残ったスタッフのレベルが向上し、同時にサロン自体も成長した。

今後の経営目標を聞くと「スタッフたちが、さらに成長した段階で考える」と応える。

最近では、ディーラーなどから100坪以上の大型サロンの経営を打診されるが、それに対しては

「身の丈に合ったリニューアルと経営を行なう。スタッフありきだから」という。


ヘアサロンのリニューアルは目標ではなく、あくまでも手段の一つに過ぎない。

そのような事を再確認した取材であった。

何の為にリニューアルを行なうのか。

既存客の為、スタッフの為。

サロンによって、その目的は違うとは思う。

それは基本的な事ではあるが、忘れがちな事でもある。

また一つ勉強になった。

では。