理容師カフェ‐小さな理容室の販促物語‐

家族経営の理容室が日々、行なっているちょっとした宣伝事例を情報共有します。

小説 組織改革物語 改革後編-改革か暴挙か-第6話 嘆き

この物語は、著者のご好意によりRIKEI(理美容教育出版社発刊)2003年9月号から11月号にて掲載した原稿を、当ブログに転載させていただきました。毎週金曜日にアップしていきます。

理容組合は生まれ変われるのか、改革を目指した男たちの記録

著 吉田裕幸HIRO・YOSHIDA(OFFICE・HIRO主宰 )
全理連業界振興論文最優秀賞受賞


何人かの地区役員に話を聞いた。

ある地区では、改革はおろか、支部が再編成されたことさえ知らない組合員が多いという。

関心がないわけではないが、読めば分かるといわれて配布物だけ渡されても、

さっぱり理解できないのだ。

それはそうである。

改革したといっても、その組合員の意識も日々の営業も、何一つ変わっていないのだから。

またある地区では、役員の業務が増えて、負担が大きくなったそうだ。

支部にあたる地区の仕事はそのままで、支部としての新しい仕事が増えたのだ。

地区の業務は支部へ移行し、雑務は大幅に削減されるはずだったのに。

経理担当者も嘆【なげ】く。会議と配布物が増えて、経費は増える一方だ。

その上に、経理処理がやたら複雑になったと。

一体どうしたというのだろうか。

会議も配布物も減って、経費は半分以下になる計算だった。

同じことを何度も繰り返しているのだろうか。

経営支援事業といわれる、中身の濃い有料講習会が増えた。

受講者の多くは、いつも地域のトップリーダーサロンであるという。

店舗間格差は広がるばかりだ。

そういえば、組織でやるべきことと、個店の自己責任でやるべきことを明確にするということも、

この改革の目的の一つであった。

組合は、これまでのように頼りにされるばかりの存在から、

自助努力【じじょどりょく】に励【はげ】む組合員のよきサポーターと変わったのである。

そのことを、組合員にどう説明すればよいのか、地区役員は日々悩んでいるらしい。

つづく


第二部最終話 リフォーム
http://blogs.yahoo.co.jp/eroisamurai/40036979.html?type=folderlist