理容師カフェ‐小さな理容室の販促物語‐

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小説 組織改革物語21話 調整

この物語は、著者のご好意によりRIKEI(理美容教育出版社発刊)2003年9月号から11月号にて掲載した原稿を、当ブログに転載させていただきました。毎週金曜日にアップしていきます。

理容組合は生まれ変われるのか、改革を目指した男たちの記録

著 吉田裕幸HIRO・YOSHIDA(OFFICE・HIRO主宰 )
全理連業界振興論文最優秀賞受賞

主な登場人物
杉山稔(副理事長・企画室長)
藤川慎一郎(助講師・企画委員)
鈴木健志(県青年部長・企画委員)
中村雅夫(企画委員・元県常務理事)
竹中敏夫(理事長)
山崎光輝(弁護士、吉川の友人)
佐藤隆(組合事務局長)


改革案承認を受けて、緊急理事会が開かれた。

はじめに、改選期にあたる次年度を、改革元年と位置づけることが確認された。

また新体制スタートに向け、役員研修会や各種委員会の立ち上げも決まった。

そのための補正予算が組まれ、改革は本格的に動き出した。

まず、合併に関するガイドライン委員会が発足した。

役員の最大関心事は、支部の再編成だ。

支部の規約や運営スタイルは、かなり違っている。

支部員の財産である積立金や各種引当金の額にも、支部によってかなりの差がある。

長い歴史から生まれた同朋意識も強かった。

一方で、それぞれの地域では、合併後の主導権をめぐって綱引きが始まっていた。

東地区では八人いる支部長が、たった一人になる。

六十人余りの支部役員も、十人程度に削減される。

調整には、かなりの困難が予想された。

財産や人材、情報を共有し、スケールメリットを生かした機能的な支部運営という、

合併本来の議論は二の次になろうとしていた。

支部規約策定委員会では、役員の選出方法で大きく揺れていた。

検討委員会では、支部長や理事の選出は、選挙によることを大前提としていた。

しかし、地域バランスに重きを置いた、従来の互選方式に支持が集まろうとしていた。

中村は危機感を抱いた。結果はどうあれ、

新体制のスタートには、規約に則った選挙がどうしても必要だった。


つづく


第二十二話 選挙
http://blogs.yahoo.co.jp/eroisamurai/37609987.html?type=folderlist