理容師カフェ‐小さな理容室の販促物語‐

家族経営の理容室が日々、行なっているちょっとした宣伝事例を情報共有します。

小説 組織改革物語17話 求心力

この物語は、著者のご好意によりRIKEI(理美容教育出版社発刊)2003年9月号から11月号にて掲載した原稿を、当ブログに転載させていただきました。毎週金曜日にアップしていきます。

理容組合は生まれ変われるのか、改革を目指した男たちの記録

著 吉田裕幸HIRO・YOSHIDA(OFFICE・HIRO主宰 )
全理連業界振興論文最優秀賞受賞

主な登場人物
杉山稔(副理事長・企画室長)
藤川慎一郎(助講師・企画委員)
鈴木健志(県青年部長・企画委員)
中村雅夫(企画委員・元県常務理事)
竹中敏夫(理事長)
山崎光輝(弁護士、吉川の友人)
佐藤隆(組合事務局長)

事務局の佐藤が、右手の人差し指を小さく回している。

東山が時計を見ると、すでに一時間が過ぎていた。

「それでは次のテーマに移ります。

メリットを感じる組合にするためには、何をすれば良いと思われますか。

お手元の資料を参考に、具体的な事業や施策について、

それぞれの考えを聞かせてください」

これは宿題になっていた。

メンバーには企画委員会から、事業プランが事前送付されていた。

情報センターに関する事項

①組合員の意見や問合せに対し、メール、ファックス、文書での受付窓口を常設する。

②役員の負担軽減と地域格差是正のために、組合配布物を宅配業者に委託する。

③業界関連情報や組合員情報をデータベース化し、組織運営や経営支援に寄与する。

④組合員、役員、事務局、消費者、関連行政機関とのネットワーク化を目指す。

⑤消費者情報の収集、業界情報の発信を担当するセクションを設置する。

⑥ホームページの管理運営をより充実させる。

⑦世代間の情報格差を是正するために、情報伝達手段の充実を図ると共に、IT化推進を目指す。


教育に関する事項

①組合講習は、目的意識の明確化と内容の充実化を目指し、原則として有料とする。

②広範囲なテーマにわたり、専門的な知識や技術を有する講師を育成する。

③経営全般の相談窓口として、経営支援室を設置する。

④少人数制の専門セミナーを開催する。

⑤世代別の講習会を開催する。


経理に関する事項

①組合費、共済掛け金、支部費、その他の集金業務をデータベース化し、金融機関での自動振替を目指す。

経理に関する事項の全てを、支部、地区間で統一し、データーの共有を図る。

③経営支援を目的とした基金の設置を図る。


その他組織関連では、福祉関連事業の研究やNPO法人の設立、

親睦事業の大幅な見直しなどが挙げられていた。

また、青年部と女性部は組織部から外れ、独立して運営することなども記されていた。

共済は、現行の制度を維持しながら、新たな方向を模索していた。

組織の重要な求心力のひとつであるが、状況は大きく様変わりした。

昨今の経済状況や相次ぐ保険会社の破綻を受けて、

情報の開示や独自の共済制度を探求するとされていた。

つづく


第十八話 意見交換
http://blogs.yahoo.co.jp/eroisamurai/36430426.html?type=folderlist