この物語は、著者のご好意によりRIKEI(理美容教育出版社発刊)2003年9月号から11月号にて掲載した原稿を、当ブログに転載させていただきました。毎週金曜日にアップしていきます。
理容組合は生まれ変われるのか、改革を目指した男たちの記録
著 吉田裕幸HIRO・YOSHIDA(OFFICE・HIRO主宰 )
全理連業界振興論文最優秀賞受賞
主な登場人物
杉山稔(副理事長・企画室長)
藤川慎一郎(助講師・企画委員)
鈴木健志(県青年部長・企画委員)
中村雅夫(企画委員・元県常務理事)
竹中敏夫(理事長)
山崎光輝(弁護士、吉川の友人)
佐藤隆(組合事務局長)
事務局の佐藤が、右手の人差し指を小さく回している。
東山が時計を見ると、すでに一時間が過ぎていた。
「それでは次のテーマに移ります。
メリットを感じる組合にするためには、何をすれば良いと思われますか。
お手元の資料を参考に、具体的な事業や施策について、
それぞれの考えを聞かせてください」
これは宿題になっていた。
メンバーには企画委員会から、事業プランが事前送付されていた。
情報センターに関する事項
①組合員の意見や問合せに対し、メール、ファックス、文書での受付窓口を常設する。
②役員の負担軽減と地域格差是正のために、組合配布物を宅配業者に委託する。
③業界関連情報や組合員情報をデータベース化し、組織運営や経営支援に寄与する。
④組合員、役員、事務局、消費者、関連行政機関とのネットワーク化を目指す。
⑤消費者情報の収集、業界情報の発信を担当するセクションを設置する。
⑥ホームページの管理運営をより充実させる。
⑦世代間の情報格差を是正するために、情報伝達手段の充実を図ると共に、IT化推進を目指す。
教育に関する事項
①組合講習は、目的意識の明確化と内容の充実化を目指し、原則として有料とする。
②広範囲なテーマにわたり、専門的な知識や技術を有する講師を育成する。
③経営全般の相談窓口として、経営支援室を設置する。
④少人数制の専門セミナーを開催する。
⑤世代別の講習会を開催する。
経理に関する事項
①組合費、共済掛け金、支部費、その他の集金業務をデータベース化し、金融機関での自動振替を目指す。
②経理に関する事項の全てを、支部、地区間で統一し、データーの共有を図る。
③経営支援を目的とした基金の設置を図る。
その他組織関連では、福祉関連事業の研究やNPO法人の設立、
親睦事業の大幅な見直しなどが挙げられていた。
また、青年部と女性部は組織部から外れ、独立して運営することなども記されていた。
共済は、現行の制度を維持しながら、新たな方向を模索していた。
組織の重要な求心力のひとつであるが、状況は大きく様変わりした。
昨今の経済状況や相次ぐ保険会社の破綻を受けて、
情報の開示や独自の共済制度を探求するとされていた。
つづく
第十八話 意見交換
http://blogs.yahoo.co.jp/eroisamurai/36430426.html?type=folderlist