理容師カフェ‐小さな理容室の販促物語‐

家族経営の理容室が日々、行なっているちょっとした宣伝事例を情報共有します。

小説 組織改革物語18話 意見交換

この物語は、著者のご好意によりRIKEI(理美容教育出版社発刊)2003年9月号から11月号にて掲載した原稿を、当ブログに転載させていただきました。毎週金曜日にアップしていきます。

理容組合は生まれ変われるのか、改革を目指した男たちの記録

著 吉田裕幸HIRO・YOSHIDA(OFFICE・HIRO主宰 )
全理連業界振興論文最優秀賞受賞

主な登場人物
杉山稔(副理事長・企画室長)
藤川慎一郎(助講師・企画委員)
鈴木健志(県青年部長・企画委員)
中村雅夫(企画委員・元県常務理事)
竹中敏夫(理事長)
山崎光輝(弁護士、吉川の友人)
佐藤隆(組合事務局長)


意見交換が始まった。

「情報センターについては、なかなか興味深いものがあります。

でも他の事業については、改革というより、単に現行の見直しのように思えるのですが」

青年部員が遠慮がちに言った。

「たしかに、やろうと思えばいつでも出来ることばかりです。

でもこれまでは、それが出来なかったのです」

「そうなんです。役員による役員のための組織でしたから、

新しいことには取り組めなかったのです」

現役の役員達が、やや自嘲気味に話した。本人がそう言っているのだから、間違いは無いのだろう。

「集金の自動振替は、なかなか面白いですね」

「でもこれは難しいよ。集金といっても県賦課金、支部費、地区会費、

共済掛け金、積立金といろいろある。お店の規模によっても違うし」

「とくに共済は、時期や年齢によって、随分と金額が変わります。それを管理するのは大変ですよ」

寺井が手を挙げた。

「確かにデーター量は多いです。

でも、ちゃんとしたプログラムを作って管理すれば、大したことは無いと思いますが」

「うーん。個人情報のセキュリティー問題もあるしね。

これからの研究課題にはなるだろうけどね」

「この件でも他の事業でも、既に取り組んでいる組合があるようですよ。

これから少し情報を集めましょう」

話は尽きなかった。

メモの書き込みで真っ黒になった資料を片付けながら、東山は次回の会議予定を告げた。

つづく


第十九話 台頭
http://blogs.yahoo.co.jp/eroisamurai/36687757.html?type=folderlist