理容師カフェ‐小さな理容室の販促物語‐

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小説 組織改革物語14話 15人

この物語は、著者のご好意によりRIKEI(理美容教育出版社発刊)2003年9月号から11月号にて掲載した原稿を、当ブログに転載させていただきました。毎週金曜日にアップしていきます。

理容組合は生まれ変われるのか、改革を目指した男たちの記録

著 吉田裕幸HIRO・YOSHIDA(OFFICE・HIRO主宰 )
全理連業界振興論文最優秀賞受賞

主な登場人物
杉山稔(副理事長・企画室長)
藤川慎一郎(助講師・企画委員)
鈴木健志(県青年部長・企画委員)
中村雅夫(企画委員・元県常務理事)
竹中敏夫(理事長)
山崎光輝(弁護士、吉川の友人)
佐藤隆(組合事務局長)

大混乱となった総代会から一ヶ月。

あまりに大きかった波紋の広がりも、ようやく収まりかけていた。

しかしこの一件で、組合員の間にも改革への関心が高まった。

組合機関紙も特集を組んで、経過報告や今後の展開を精力的に伝えた。
 
六月、緊急理事会が開かれ、改革検討委員会を立ち上げることが決まった。

来年度の総代会可決承認と早期運用を目指し、より充実した改革案を策定するためだ。

それは、出来るだけ分かりやすく組合員に伝わらなければならない。

そのためには、より具体的な内容を盛り込む必要があった。

メンバーは各地域から推薦された十五名。

青年部に在籍する若手組合員も加わっていた。

企画委員からは中村が参画し、藤川と鈴木は資料の準備や解説など後方支援に回ることになった.

また一般組合員を対象に、改革の説明会を開催することも決定した。

七月から九月まで、県内全地区で三十会場が予定された。

藤川、鈴木、中村が手分けして臨むことになる。

皆忙しかったが、やるしかなかった。

七月初旬、第一回の改革検討会議が開かれた。

委員長には、新しく企画室長に就任した東山が指名された。

二十年にわたり総務、共済、組織といった地味な仕事を堅実にこなし、杉山を支えてきた。

役員にも組合員にも信頼は厚かった。

その日の会議では、十月までに十二回の会議を開くこと。

専門部会に分かれて、定款、支部再編成、役員、事業、予算、組織、

規約など個別の問題について検討することなどが決まった。

メンバー達は、厳しいスケジュールと責任の重さに戸惑っていた。

つづく


第十五話 生意気
http://blogs.yahoo.co.jp/eroisamurai/35452923.html?type=folderlist