一昨日、中野製薬が主催した店販強化ゼミを受講した。
二部制となっており、第一部の「モノを売るな、体験を売れ‐エクスペリエンスマーケティング」
と題したセミナーでは興味深い話が聞けた。
講師はフリーパレット集客施設研究所代表の藤村正宏氏。
現代の消費者ニーズは、スペックよりも意味であると話す藤村氏は、
「車の販売店では、性能よりも体験。
つまり、この車に乗る事で、どのような事が体験できるか。消費者は、そこに興味がある」と話す。
確かに、車のCMを見ていると「家族とバーベキューに行こう」と言った提案をしているケースが多い。
要は、この車を購入する意味(理由)を消費者に知らせているのである。
藤村氏は以前、横浜の飲食店のコンサルタントを行なった際、ロケーションはもとより、
内外装や料理にこだわり、それでいて価格は低めに設定し、繁盛店を作り上げようとした。
関係者の誰しもが成功を疑わなかった。
がしかし、蓋を開けてみると、月商4000万円の売上げ予測には遠く及ばない。
その原因を探っていくと、店頭に置いてあるメニュー表であると気が付いた。
メニューと価格しか提示されていなく、近隣の同業他社との大きな違いがなかったという。
そこで、藤村氏は考えた。
元来、ロケーションが良い為、夜景がとてもキレイであり、その強みを店頭のメニュー表で訴えかけたのだ。
デジカメで店内から見える夜景を撮影し、自宅のプリンターで印刷。
パウチ処理を行ない、メニュー名と価格よりも目立つ場所に貼ってみた。
もちろん、「全席から素敵な夜景がみれます」というキャッチも付け加える。
すると、どうだろうか。
売上げが1000万円以上も上がり、予測売上げを見事にクリアしたのだ。
その勢いはその後も継続し、年間にして1億2000万円も売上げが伸びた。
この成功事例から藤村氏は、消費者は「モノ」より「体験」を求めている事を痛感する。
彼女と夜景を見ながら食事をしたい。
店頭に貼ってあるメニューを見た通行人は、そのように考え来店したのだ。
「消費者は買う理由を知らないから、伝える事が重要だ」と藤村氏はいう。
つづけて「伝えていない商品は、なきに等しい」とも付け加える。
ヘアサロンの店頭に貼ってあるメニュー表やポップ。
もしかしたら、技術と価格だけではないだろうか?
カットをするために来店されたお客さまはもしかしたら、
あなたとの会話から地域の情報交換を望んでいるかもしれない。
日々のストレスから解放されたいために、心地よいシャンプーが楽しみだったりするかもしれない。
若いスタッフとの会話を、密かな楽しみとしているオッサンだっている(オイラ)。
当店でカットをすることで、どのような体験が得られるのか。
カット+アルファをもう一度再確認し、アピールすると、また違う結果になるとも考えられる。
これは店頭の価格表だけではなく、ホームページやリーフレットでも同じ事が言える。
ほんの少しの発想の転換が、大きな利益を生む。
そのような事を学んだセミナーであった。
では。