理容師カフェ‐小さな理容室の販促物語‐

家族経営の理容室が日々、行なっているちょっとした宣伝事例を情報共有します。

ヘアサロンは一期一会

元日に、嫁さんの実家に行き、プロ野球チームの楽天・野村監督似の義理の父親と飲んだのですが

そこで興味深い話が聞けましたので、紹介したいと思います。

ちょっと長文になってしまいました。ゴメン(汗)。


嫁さんの実家は、当家から車で約10分。

なので、毎週会って一緒にお酒を飲んでおり、義理の父親の性格は理解しています。

苦労して現在の会社を立ち上げ、そのため義理人情に厚く、

お金の使い方などを見ていますと、多々勉強になります。

例えば、価値を認めるモノやサービスに対しては、価格ではなく販売店もしくは人を見ながら購入し

それが最終的には、情報と言う目に見えないサービスが得られると教えてくれました。

現在、63歳なのですが新宿・歌舞伎町を、肩で風切りながら闊歩(かっぽ)しています。


行きつけの理容店は会社近くにあり、数十年来のお付き合いとの事。

過去、義理の父親を担当している理容師さんが、トラブルに遭遇(そうぐう)した際には

自らが仲介役を務めたと言う経緯もありました。


その義理の父親が、昨年の年末、

取引先へ挨拶(あいさつ)回りを行なう前に髪型を整えたかったのですが

どうしても、行きつけの理容店に行く時間を作る事ができなく

しょうがなく、会社近くにある某1000円カットの理容室に行ったと話します。


「10分って書いてあったけどさ、時間を計ったら15分かかった」

まず、この一言から、お客さまは所要時間に対してチェックしている事が伺いしれます。

それと、来店動機として「髪を切る」に加えて「短時間で済む」と言う理由の存在を確認できました。


そして、さらに気になったのが次の言葉です。

「1000円の理容店を出た後、そのまま挨拶回りに行ったけど、髪型に対する話は誰一人なかった」

「つまりだ。ヘンな髪型ではないと言う事だな」

「となれば、今まで通っていた理容店のサービスは、どうなんだ、となるよな」

前述の通り、義理人情に厚く、ココと決めたら通い続ける性格の義理の父親から

このような言葉が聞けるとは、正直、全く想像できませんでした。


オイラなりに、義理の父親の言葉を分析してみますと、

カット以外のメニューの意味が、お客さまに伝わっていないからこそ、今回のような話になったと考えます。

なぜ、シャンプーを行なうのか。シェービングを行なう理由は何か。

これらが、理容師と言うプロの見解を踏まえたアプローチが不足しているからこそ

お客さまは、その価値を知らないとも思います。


スタンド&フロントシャンプー(前流しシャンプー)では、髪を洗うのではなく

頭皮を揉(も)む事で、毛細血管の血流が増えたり、毛穴に詰まった皮脂を取り除く事ができる。

また、頭には多くのツボがあり、自分自身で行なうシャンプーでは刺激を加えられない部分にも

理容店のシャンプーでは充分、力が加わる。

フロントシャンプーの際には、加齢臭の原因と言われている耳後部の汚れを洗う事ができる。

この部分も、自分で行なうシャンプーでは洗い忘れてしまう場所である。

だから、ひと月に一回程度、頭皮のメンテナンスを行なう事が必要で、

理容店のシャンプーには、以上の効果がある。


理容店でシャンプーを行なう理由は、まだまだ存在すると思いますが、

ざっと考えると、大体、上記の内容ではないでしょうか。


シェービングにしても、目の周辺のうぶ毛を丁寧(ていねい)に剃る事でクスミがなくなり

それが明るい印象に繋がる。

また、スチームタオルの拭き取りや、添え手がリフトアップ効果に繋がるとも言われ

顔の皮膚のメンテナンスも、ひと月に一回程度、必要である事などが考えられます。


ただし、果たして、お客さまは、どれだけ知っているのか疑問です。

少なくとも、義理の父親は、それらについて知っていない、もしくは忘れていました。


お客さまを失う理由の一つに、自店メニューを行なう意義が伝わっていない事を再確認したのですが

その解消方法としては、手段・方法以上に「伝え続ける」と言う

基本スタンスが存在してこそ成り立つと、生意気にも考えます。


店内や店外に貼るPOPやチラシ、店頭置き看板、ニュースレター、小冊子、メニュー表、

サンキューレターにDM、そして施術中の会話などには、売り込むだけの情報ではなく

理容技術を受ける理由や効果、つまり、一昨日の日記でも書きましたが、売り込まない情報を

常に盛り込む事が必要不可欠であると痛感しました。


そして何よりも、毎回通ってくれるお客さまが、

次回も来店される保障は全くないと言う事も再確認できた、元日の義理の父親との会話です。


どうしてシャンプーを行なうのか。

どうしてシェービングを行なうのか。

一度、それらについて考えてみますと、いろんな答えが生まれてくると思うのですが、どうでしょうか。


それにしても、義理の父親が次回、数十年通った理容店に行くのか

はたまた某1000円カットの理容店に行くのか、物凄く興味深いです。

では。