理容師カフェ‐小さな理容室の販促物語‐

家族経営の理容室が日々、行なっているちょっとした宣伝事例を情報共有します。

シャンプーは作業なのか?

東京・港区白金台にあるヘッドスパ専門店セレネを取材した。

スタッフは全員、元美容師。

店長においてはキャリア十数年の美容師。

ヘアサロンのシャンプーと同店のシャンプーの違いとして店長は、このように語る。

「そもそも、意識が違います」と。

店長はシャンプーについて説明する際、頭を洗うと言う表現ではなく、

頭を捉(とら)える、としている。



「ヘアサロンでのシャンプーは残念ながら、作業と言う表現が適切かもしれません」

そのように語る店長は、ヘアサロンで働いている際には、作業の部類に入るシャンプーを行なっており、

それが誰にも負けない技術であると自負していた。

しかし、ヘッドスパ専門店の立ち上げを考え、夫であるオーナーを練習モデルにしてシャンプーしていたところ、

見事にダメ出しを食らう。

「なんで耳に指があたるの? とオーナーに指摘されるまで、

耳に指があたっていることすら、気が付いていませんでした」とも話す。

それは、無意識にシャンプーを行なっていた証拠でもあるが、

お客としてみれば、耳にあたるのがもの凄いストレスとなるのである。


また、当初はヘッドスパ専門店のレイアウトは、

イスが横並びになっているヘアサロンのシャンプーブースをイメージしていたが、

同業他社を見学しているうちに、視野が広がり、現在のような完全個室となった。

「働いていたヘアサロンしか知らなかったので、発想にも限界がありました」。

そのように店長は、当時を振り返る。


このように、様々な角度から研究されたのがセレネのヘッドスパなのである。

「ヘアサロンで行われている手早く、シャカシャカと洗うのはシャンプーではありません。

シャンプーに限らず、すべてが理美容師本位で考えられているのが現状で、

それに対して諦めているお客さまも多いのではないか」とオーナーは手厳しい。

この意見に同調する訳ではないが、オイラも満足がいくシャンプーを体験した事は、

あまり言いたくはないが、わずかに2回だけだ。


シャンプーに対する意識に変化がなければ、ヘッドスパメニューを導入したところで、

お客さまには浸透しないと考えるのはオイラだけだろうか?

では、どのように意識を変えれば良いのか。

一度、専門店の技術を体験される事で、その多くを知る事ができると思う。

言い換えれば、そのような事すら行なわないでヘッドスパメニューを立ち上げるのは、

非常に危険であるのが窺い知れる。

ヘッドスパを理美容師の自己満足な技術に終わらせてはならないのだ。

では。