理容師カフェ‐小さな理容室の販促物語‐

家族経営の理容室が日々、行なっているちょっとした宣伝事例を情報共有します。

理美容業界の残業代について

昨日の日記の続きで、古田土会計士事務所で開催された経営塾「就業規則セミナーのお話です。

講師は、社会保険労務士で同事務所専務の吉田由美子氏。


後半は残業代をテーマについて解説が述べられました。

理美容業界のような長時間営業を余儀なくされる業種に対し、

ここ数年、話題に上がっている「残業代」ですが、これについても定額残業制の導入を提案します。

「各種手当に対して『○○手当』ではなく

『○○時間外手当』と名称を変更することで残業代でもあることを明記しておく」

「それと、所定休日の一部を休暇(営業日)とする方法も有効」とも付け加えます。


賃金/一ヶ月平均労働時間 この数式から、従業員の時間給が割り出せます。

毎月8日の休日で年間104日、祝日が15日、夏季休日・冬季休日が計6日となれば合計125日の年間休日。

365(日)―125(年間休日)=240(年間労働日数) 

240(年間労働日数)×7.5(一日労働時間)=1800(年間労働時間)

1800(年間労働時間)÷12(ヶ月)=150(一ヶ月平均労働時間)

30万(賃金)÷150(一ヶ月平均労働時間)=2000(時間給)


そして、30万円のうち、店長時間外手当が5万円とすれば・・・

2000(時間給)×1.25(残業代の掛け率)=2500(残業代の時間単価)

5万(店長時間外手当)÷2500(残業の時間単価)=20

つまり、20時間相当の残業代となります。


当然、賃金/一ヶ月平均労働時間の分母(平均労働時間の方)が大きくなれば時間給が少なくなる為、

結果として手当に含まれる残業代相当の時間が増えます。

30万円(賃金)/175(一ヶ月平均労働時間)=1724.2・・・(時間給)

5万(店長時間外手当)÷1725(時間給)=28.9・・・

28.9時間相当の残業代になりました。


では、どうすれば分母の数を増やすことができるのか。

「休日は労働義務を免除された日であり、休暇は労働義務が生じる」

「従業員の休日数は減らさないで、表現だけを休日と休暇にすれば良い」と言います。

書類上は月曜日と第2・第3火曜日を休日とし、第1・第4火曜日を休暇にする方法です。

もちろん、残業代金についても経営者の私腹を肥やす為にあるのではなく、

お客さまが安心して来店できるため、スタッフの生活が安定するためにサロンの存続・発展が必要で、

そのためには利益の保有が第一となります。


これは、経営ビジョンを達成するための必要資金とも考えられますが、

だからこそ、なんのためにサロンが存在するのか、なんのために働くのか

そこを、まず最初に明確にする必要があるとも考えました。


最後に質疑応答となり、理美容業界のような長時間労働の業種の場合、

どのような取り組みが効果的なのかと、同事務所のスタッフに聞いてみました。

すると「休憩時間を1時間と設定するのではなく、1時間以上とする方法が考えられる」と応えてくれます。

実際、某美容室では休憩時間を1時間以上としながら、

実際には3時間の休憩時間を設けている事になっているとアドバイスをくれました。


そこで、再びこのような質問を投げかけてみます。

「スタッフルームにいる時間を休憩時間とすれば良いのか?」と。

すると、拘束されていない事が休憩時間となるので、

スタッフルームにいる時間は、あくまでも労働時間の範疇(はんちゅう)とのことです。


今回の内容は社会保険労務士側の提案であり、

以前、書きましたユニオン側の残業代の意見についても読まれますと、面白いかもしれません。

「緊急提言! 今、サロン経営者がユニオンを学ぶ時!」セミナーの取材内容
http://blogs.yahoo.co.jp/eroisamurai/52729349.html

では。