昨日も書いた通り、本日の内容は古田土（土に・）会計士事務所主催の経営塾についてです。
年間を通して開催されているのですが、受講料は無料となっています。
さて今回の内容は就業規則についてです。
講師は同事務所の吉田由美子専務。元気の良いオバちゃん…ではなく淑女です。
「経営計画書は目先を照らす大切なモノ」
「一方、就業規則は足元を照らすモノと考えると分かりやすいですよ」
開口一番、そのように語ります。
経営計画書は今後の指針であり、就業規則は今働くために必要な決めごと。
そのように聞こえます。
問題の多い社員が退職し、未払いの残業代などで訴えられる場合、
多くの中小企業経営者は慌てて、就業規則を確認するケースが意外と多いとも話します。
「１０人未満の事業所の場合、就業規則は必要ありません」
「しかし、何か問題が生じた場合、労働基準法が判断基準となります」
「在籍中に問題を起こす社員は、ほんの一部。その他の多くは、必至にまじめに業務に取り組んでいます」
「その必至に取り組んでいる社員と家族の生活を守る為にも、就業規則は必要なのです」
よくあるのが数十年前の就業規則を、そのまま活用していると言う話。
「例えばセクハラ防止に関する事は、過去の就業規則にはありません」
「だから、定期的に見直す必要性があります」
「まっ、セクハラに関しては、私には縁遠い話なんですけどね。ガハハ」
と言いますと会場は大爆笑。終始、このような感じで進みます。
今話題の残業代についてですが、吉田講師の見解は次の通りになります。
「工場長や支店長でも管理・監督者にならないのが現状」
「エリアの統括者になって管理・監督者となります」
「であれば、中小企業のほとんどの社員は管理・監督者になりません」
つまり、多くのケースで残業代が発生すると言います。
では、どうすれば良いのでしょうか？
「定額残業制の導入。営業手当などがある場合、営業時間外手当と名称を変更します」
「また、管理職手当にしても管理時間外手当などに設定し、基本給を低くします」
毎月の賃金（交通費以外のほとんど）÷月平均労働時間。
例えば、３０万円の賃金に対して、一日の労働時間が7時間×労働日数。
労働日数を３０日の月から毎週・土日の二日間を引くと２２日となり、
7時間×２２日＝１５４時間。これが月間平均労働時間です。
ですから１５４時間以上の労働に対して残業代が発生します。
そこで、３０万円の賃金に対して営業時間外手当を８万円とします。
この８万円が、何時間の残業代になるのか。
２２万（賃金３０万から営業外手当８万を引いた額）に対して
労働時間の１５４時間を割りますと１４２８．５７・・・時給１４２９円となります。
この時給に対して残業代は賃金の１．２５倍ですから１４２９円×１．２５＝１７８６．２５円だから１７８７円になります。
この数字を営業時間外手当８万円で割りますと、８万÷１７８７＝４４．７６・・・
４４時間の残業代に当てはまります。
月２２日労働で４４時間の残業ですから、毎日２時間程度。
ですが、休日を月８日ではなく、労働基準法による月４日の休日に当てはめて計算しますと、
毎月の労働日は２６日になります
７時間×２６＝１８２時間 つまり１８２時間労働以上に対して残業代が発生する事になります。
２２万÷１８２時間＝１２０８．７９・・・時給は１２０９円です。
再び営業外手当の８万円で割りますと８万÷１２０９＝６６．１７・・・６６時間の残業代。
もちろん、休日を休暇にするにあたり、社員の同意が必要であり、
賃金や休日総数の変更をしないで、このように残業代対策になることも事実。
３６協定の特別条項を活用し、残業時間の上限を高めるなど色々ありますが、
その根幹には、労使間の意思の疎通が必要であると吉田講師は言います。
「就業規則は厳しく作り、運用は優しくする」
「有給休暇は事前に申請する事がルールですが、まじめに働いている社員には融通しましょうよ」
この一言が印象深いです。
規則は厳しくするけど、それはあくまでも社員を守る為であり、
であれば、同じ志を持つ仲間として一定の基準を設ける。
問題社員から会社を守る為にも就業規則の存在が必要である事を学びました。
代休は休日手当が発生するから振替休日にする。
試用期間の事。
などなど、これ以上長文になると読みにくいので、ここでは割愛させていただきますが、
なんと言いますか、吉田講師の温かみがある就業規則セミナーは、
運用する人次第で、その結果は全然違う事を学びました。
では。
追記 数字関連、間違っていませんか？ 素人なので、ちょっと不安です（汗）。
