理容師カフェ‐小さな理容室の販促物語‐

家族経営の理容室が日々、行なっているちょっとした宣伝事例を情報共有します。

ヘアサロンとユニオン(労働者組合)

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「緊急提言! 今、サロン経営者がユニオンを学ぶ時!」と題したセミナーを

一昨日、受講・取材させてもらいました。

主催は株式会社ハピネス。


講師は、東京管理職ユニオン書記長の設楽清嗣氏。

イムリーな内容で非常に興味深く取材させていただきました。


マクドナルド店長の時間外手当不支給の話題は記憶に新しく

その経緯を話してくれます。


管理監督者である店長に対して

なぜ残業代が支払われたでしょうか。


管理監督者とは労働時間や内容を、自分自身で決める事ができる立場と

労働基準法第四一条二号に定められている」


「つまり、働き方が決められていない職位が管理監督者となる」

「であれば、拘束時間と仕事内容が決まっている

チェーン展開している店長は管理監督者にならない」


このような理論から、マクドナルドの店長に対して

残業代が2年間にさかのぼって支払われました。


未払いの残業代金は時効が2年

支払う際には2倍となっています。



さらに設楽氏は、次のような発言もされます。


藤田田氏が経営していた頃のマクドナルドでは、確かに未払いの残業は存在した」

「しかし、問題にならなかった。スタッフに対する待遇が良かったからだ」

「業績に応じた臨時ボーナスなどもあり、現場から文句が出なかった」



経営者の舵取りが間違わなく

そして労使間で話し合いが持たれていれば、何も問題なく、

その真逆の結果、今回のような結果になった事がうかがえます。


では、理美容業界の店長は

マクドナルドの店長と同じ立場になるのでしょうか。


「なる。店長が管理監督者であれば、経営権限を譲渡(じょうと)するか、

もしくはフランチャイズにする方法が適している」

「そもそも、なぜ労働法が生まれたのか」


「それは人身売買、口入れやが横行していた時代」

「今では考えられない、かなり劣悪な労働環境を改善するためだ」


「経営者には、労働法の意味を頭の片隅で良いので、記憶に留めて欲しい」


取材前には、間違ったイメージと言いますか思い込みがあったオイラ。


「経営者は悪だ!」


「労働者の権利を守れ!」


「資本主義に騙されるな!」



と言う類の内容かと思っていましたが

想像とは違い、勉強になる話が多々聞けます。


以前、とある高校で、対立することが多い

経営者側の弁護士と講演する事があり、

その当時の話を次のように語ります。


「その弁護士が、良い事を言った」

「社会人として最低限必要な事は、元気良くあいさつする」


「報告・連絡・相談をする、先輩や上司の話聞く際はメモを取る、と」

「その通りだ」


「ただ残念ながら、ユニオンの組合員でも、出来ていないケースは多い」

と話すと会場内に笑いが生じる。

「出来ていない場合、経営者が注意しているのか。ここがポイント」


結構多いケースでは、問題を起こす社員に対して解雇を告げる際

注意が複数に渡って行なわれていない事があると話します。


「注意して改善を促す」

「これを数回繰り返し、記録や証拠に残す」


「その際、マイクロカセットは証拠として不可能。改ざんできるから」

「ICレコーダーは記録として認められる」


「スタッフの持ち物からUCレコーダーが見付かったら要注意」

と話すと、これまた会場に笑いが生まれます。


さて、ここから理美容業界向けの内容に移行してきます。


「閉店後の練習は、スタッフ本人が希望し、尚かつ一度は帰宅する旨を相手に話す」

「帰宅を促す発言は必要」


「そして、記録に残す」

「これであれば残業と認められない」


「それから、10人以上のスタッフがいる場合」

就業規則の存在がポイントとなる」


「スタッフを解雇しても、就業規則に解雇条件が明確に存在しないと、

法律に基づいていない事になり、ユニオンはそこを突く」

「また36(サブロク)協定が労使間で結ばれていないと、時間外労働が認められない」


「経営者と労働者の代表が、年に一度話し合い、

労働契約書を交わして協定を結ぶ事が義務づけられている」


「ここでも多いケースは、労働者の代表が経営者によって勝手に決められ、

数年前に36協定が結ばれた事となっている場合、ユニオンはここを突く」


つまり、労働者の代表が、どのように選出され

いつ・どこで・どのように36協定が結ばれたのか。

ここが明確になっていない場合は、突っ込まれると言います。


「手の内を公開するようで、なんか気がひけるな…」と言いながらも

「あっ! そうそう。このようなケースでは…」と語ります。


長文になるため、ここでは省略させていただきますが、

この後、Q&Aでも質問が多く寄せられる光景を目の当たりにしました。

やはり、サロン経営者は今、興味深いんですね。


「要は、経営者と労働者ともに、労使関係を明確・把握する事」

「経営者は面倒かもしれないが、言葉に出して記録する」


「それがトラブルを解消する手段」

「皆さんのサロンに、私が行かなくても良いようにしてください(笑)」


このように締めくくると会場は大爆笑となり閉会となりました。


主催者曰く、本年度後期に設楽氏を講師に招き、

今度はQ&Aをメインにしたセミナーを開催する予定といいます。