千葉県の某ヘアサロンは2年前に新規オープンした。
そして今年の4月には、隣接していた空きスペースを利用して、
クリームバスなどを行なう専用スペースを設けた。
増設という形のリニューアルだ。
リニューアルによって増設したスペースで、クリームバスをメインメニューにした結果、予測が見事に的中した。
これは、エリアの潜在ニーズを掘り起こし、そして提案した結果であることが窺い知れる。
では、そもそも、エリアマーケティングの結果から、どのような情報が得られたのか。
取材に協力してくれた経営者は、このように語ってくれた。
「根本的に、この場所は人口流動率が高く、結婚してお子さまがいる団塊ジュニア世代が増加しています」
と前置きすると「その世代は、お金を消費する楽しさを知っており、
またオシャレに関しても、積極的に取り入れてきました。
自分へのご褒美。そのような消費方法をするのも特徴ですよね」。
続けて「ですが、出産を踏まえて育児を行なうことで、自由に身動きが取れないという現状を迎えているのです。
だから、地元のヘアサロンや各種業種に対してお金を使うようになり、
そのような観点から、原宿や青山、この辺でしたら千葉駅周辺に行かなくても、
地元にセンスが良いヘアサロンがあれば興味を示します。
クリームバスに関しても同じで、本物を知っている大人の女性だからこそ、
その価値に対して共感していただき、だからこそ多くの新規客が来店されました」。
リニューアルを行なう際、最も大切なことが、エリアマーケティングにあると考える。
言い換えれば、エリアの情報を得ないでリニューアルを行なっても、
その後の結果は想像に容易い。
リニューアルありきではなく、あくまでも潜在ニーズを知り、対象となる客層がどの位存在するのか。
そして、顧客満足度を高められるスタッフが存在してからこそ、リニューアルが成功する。
最後に、その経営者はボソリと、このように語る。
「実際に店舗付近に住んで、生活者としての視線で街をみてみると、
エリアマーケティングと言う大げさな意味ではなく、ほんの些細な事からも情報が得られるんですよ。
例えば、公園や幼稚園が多い事に気が付くと、そこから住人の世代が何となく想像できますから」と。
リニューアルは目的ではなく、あくまでも手段の一つに過ぎない。
その点を再確認した取材であった。