「最近、梅酒が密かなブームなんですよ」。
埼玉・川越にある㈱マツザキと言う酒屋さんを取材した際、この様な事を教えていただいた。
店内を見回すと、確かに、数多くの梅酒があり「試飲してみます?」と聞かれる。
前回書いた「返事は0.2秒以内にする」を無意識に実践しているオイラ。
仕事だから、しょうがない。
繰り返すが、これはあくまでも仕事の一環である。
決して、私利私欲にとらわれた末の試飲ではない事を、ご理解いただきたい。
グビッと一気に飲むオイラ。
もう一杯! と言いたいところだったが、仕事中であるので
「甘くなくて、梅の香りが物凄くしますよね。これなら、炭酸で割れば肴とも合います。
ロックで飲んでもスッキリしているかも。うん美味しい」とマジメな顔してコメントを述べる。
心の中では「あ゛~、このまま、普通に、この梅酒をガンガン飲みてぇ~」などと思いつつも、あくまでも平静を保つ。
「梅酒って、食前酒と言うイメージが強いのですが、実は種類が豊富で、男性向けに作られたモノ
色々な食べ物との相性が良いモノもあるんですよ」と、取材に協力してくれた同社代表は言う。
正直、梅酒に対するイメージが変わった。
「取引がある飲食店から、梅酒の種類を増やしたいと言うリクエストがあり、
全国の酒蔵を巡って、数多くの梅酒を探してきました」。
そして、その飲食店で梅酒が爆発的に売れ、手応えを感じたとも語る。
「その後、取引がある飲食店やお客さまに対しまして、梅酒の美味しさを伝え続けました」と話すと
「作り手である酒蔵の想いを伝える事が私たちの仕事であり、専門店の強みであると考えます」と付け加える。
スーパーやコンビニなどでもお酒は販売されており、利便性においては確かに酒屋さんは劣る。
「これからの専門店は、商品のラインナップにこだわりつつ、想いを伝える事で生き残ると思うのです」。
再び店内を見回すと、多くのポップが貼ってある事に気が付き、そこには、酒蔵からのメッセージが数多く書かれている。
売り物は酒と酒蔵の想い。
そのように感じたのはオイラだけだろうか。
そしてもう一点、同社から学んだ事がある。
長文になると読み難くなるため端的に説明すると、ブームは起こすものであると言う事だ。
「ブームになる前に、宮崎の酒蔵で物凄く美味しい芋焼酎を見つけました。
川越と言う芋焼酎ですが、今となっては当店では抽選販売を行なう程の人気商品です」と。
そして「お客さまは多くの情報を得ていますが、専門店は、その一歩先の情報を提案する必要があります」ともしている。
そのためには、同社の場合は、頻繁に地方の酒蔵を巡っている。
「お客さまが知らない事を見出し、提案する。それって面白くないですか?
それが商売人冥利につきると思うのですが、どうですか」。
その積み重ねがブームに繋がり、そして消費者ニーズが高まる。
ヘアサロンで使用しているシャンプーやトリートメント、もしくは技術。
そこには、必ずこだわりが存在する。
となれば、ヘアサロンでの売り物は店販の場合、商品と想い、もしくは、こだわりとなる。
技術に対しても、同じではないだろうか。
理容業界では「冷やしシャンプー」が流行の兆しをみせているが、
果たして、想いを伝えているヘアサロンが、どのくらい存在するのか疑問である。
どうして「冷やしシャンプー」を提案しているのか。
オイラが客ならば、そこが一番知りたいと常々思うのだが。
では。