理容師カフェ‐小さな理容室の販促物語‐

家族経営の理容室が日々、行なっているちょっとした宣伝事例を情報共有します。

ご婦人から経営者の仕事を学ぶ

先週の事だ。

嫁と、さくら水産で飲んでいると、空いている隣の席に恰幅の良いご婦人が着た。

オイラが座っている席と隣の席の間が狭いため、ご婦人が席に着く際、

ほんの少しテーブルにお尻が当たってしまった。

「あら、ごめんなさいね。私デブだから」と笑顔のご婦人。

しばらくして、オイラがホッピーを飲んでいると、ご婦人が

「それ、なんていう飲み物? 美味しそうね」などと話しかけてくる。

程なくして、オイラのテーブルにグレープフルーツサワーが届くのを見ると

「グレープがついてくるのね、それ頼もうかしら」と愛想の良い笑顔で気軽に会話に入ってくる。

もう、そうなれば一緒にワイワイ大騒ぎとなるまで、そんなに時間はかからなかった。


ご婦人は70歳で酒もタバコも大好きで、みるからに豪快そのもの。

聞けば、どこぞの会社の会長職にあり、半分引退したとは言え、毎日出社しているとの事。

「おかあさん(ご婦人)さぁ、毎日会社に行ってなにやってるんですか?」

経験的に、このタイプのご婦人に対しては、思った事をストレートに

しかも、砕けた口調で聞いてみると、案外早くうち解けると思っているため、

少々失礼な事でも、サラリと聞いてみた。

すると、案の定こんな応えが返ってくる。

「ガハハ(笑)。そーなのよぉー。なにもする事ないのよ!」

生グレープサワー片手にタバコを吸いながら、そう語る70歳。


でもね…と続きを話す際、ご婦人の表情が一瞬だけ経営者の顔となり

「従業員の動きを、じーっと見ているだけでも、いま・だれが・なにを・どのよう行なっているが把握できる」

と話すと、

「上司の目の前だけ調子の良い事を話して、部下には無理難題を押しつける。

そんなヤツは、動きを一目見ればわかるのさ。だてに歳とってないよ。ガハハ」

とも付け加える。

「悲しい事に、要領が良いヤツが出世するんですよ、残念ながら」とオイラ。

すると「そーなのよ。だから、暇な私が社長に代わって従業員を観ているのよ。

要領が良いだけの上司の下にいて、尻ぬぐいさせられている従業員を正当に評価する。

それが私の仕事。今日も、こいつ(同行している若手従業員)と話しをしたかったから飲みに来た訳さ」

若手従業員によると、ご婦人は広い社内でも神出鬼没、どこにでも現れるという。

「受付にいるときだって、あるんだから。ガハハ」

このご婦人と話して勉強になったのは、組織の長たる者の仕事の一つとして、

従業員の動きや考えなどを把握するのも重要であると言う事だ。


「お住まいは、この近くなの?」と聞いてくる生グレープサワー3杯目のご婦人。

「うん。この近く。○○駅ですよ」と正直に答えるエロ侍。

すると「あら。ウチから近いじゃないの。今度、飲みに行こうよ」と社交辞令を言うご婦人。

一期一会かと思いつつも、どこかで、またお話しが聞ければイイな、などと考えていると、

「連絡先、この子(同行の若手従業員)に渡してよ」と、ご婦人は本気の様子。

会社の名刺と渡すと、その日は終了したが、もしかしたら、

今後もご婦人の話から、経営者の仕事について勉強できる機会があるかもしれない。


オヤジ系の居酒屋での出会いも捨てたもんじゃないな、などと思ったサクラ水産の夜である。

では。