理容師カフェ‐小さな理容室の販促物語‐

家族経営の理容室が日々、行なっているちょっとした宣伝事例を情報共有します。

初めてのお葬式②

父の親友、父が所属していた理容組合の支部長が帰ったあと、唐突に母が言った。

あの人(父の親友)手癖悪いのよ、と。

女ではなく、お金の手癖が悪いと言う。

聞けば、理容組合の慰安旅行や集まりでも、財布が紛失したり何がしかのお金が無くなったりする事があるらしい。

そんな事はずーっと前からの事で、多くの人達が父の親友と言われる人に容疑をかけていた。

にわかに信じがたく、容疑だけで人を疑ってはいけないので、妹に聞いてみると、

「父の親友がいち早く駆けつけてくれた時、父の遺体を見る前に、内装を見回していた」と言う。

これは、泥棒さんが良く行なう事前調査、とも思える。

裏を取る訳ではないが、父の親友について一応、色んな人に、それとなく聞いてみた。

思いっきり評判悪い(汗)。

と言うか、父もかなりの被害にあっていたと言う話も聞こえてくる。

そう考えると、理容組合の支部長がエロ侍に香典の管理を厳重にする旨、言っていた事が理解できる。

手癖が悪いと言われている父の友人がいる前で、香典の管理が万全であると宣言していたのだ。

それにしても、そのような理容組合の人たちが不安を抱いているにも関わらず、

支部長さんは、打開策の一つも考えていない。現・支部長、その資質には疑問が多い。

今までの金銭紛失に関して、なぜ、何もしていないのか。

まっ、その辺は直接会って聞くから現段階では良いとしよう。

通夜を翌日に控えた晩、理容組合の方々のご好意を受け、

受付や香典を数える人の人員配置の綿密なる打ち合わせを行なった。

皆、ことごとく言う言葉が「香典の管理は万全に」である。

そう、その言葉の裏には、手癖が悪い(と言われている)父の親友に気をつけろ、と言う事だ。

そして、お通夜。

一番最初に父の親友が来たのだ。

受付の場所や親族控え室を事前にチェックするみたいに、あたりを見回しながら。

ここからエロ侍と、父の親友との対決が始まるのだった。

つづく