この物語も、いよいよ佳境に入ってきました。
ほんのちょっとした僅かなスキが、大きな代償を支払う切っ掛けになりかねません。
繰り返しますが節税と脱税は全く違います。
ルールを守った節税であるならば、毅然とした態度で臨みましょう。
正義は勝つのです。
では第7話スタートです。
【焦り】
私「税務署の人たちが食事に行っている間、俺たちも何か食べようか」
妻「そうですね…。あっ! そういえば、税務署の人たち確か、
現金出納帳の数字と現金が合っているか、どうのこうのって言っていたけど」
私「………。何だよ、そこまで調べるのかよ。ちょっと確認してみるか」
数分後
私「ゲッ、かなり合っていない。(そういえば、先週、スタッフたちと行った熟女キャバクラ、
あれ確か…、売上げから払ったよな。オイオイ、そんなこと嫁になんか言えないよ。困ったな)
おい○○(妻)、この間○○(息子)と食事したときの支払い、確か、売上げから払っちゃったよな。
その前の、お父さんが来たときの食事も、確かそうだったし…」
妻「そう言えば、そうねぇ。先月、お買い物したときも、売上げからお金借りたままでした」
私「家計の現金と、お店の売上げがゴチャゴチャになってるなぁ(これで、なんとか嫁にバレないで済むな、フフフ)。
おい、すまんが、ちょっと銀行まで行って、お金おろして来てくれよ。
税務署の人たちが来ちゃうから、早く行ってくれ!」
妻「そ、そうね(汗)。行ってきますね」
つづく
第7話チェックポイント
現金出納帳と手元に残っている現金が合うのが普通。
違うのであれば、売上げを隠蔽(いんぺい)している可能性があると疑われてしまう。
決して悪意があって現金出納帳の数字が合わない場合もある。
前出の夫婦のように、家計と売上げが混同してしまうケースだ。
食費、教育費、交際費など、ついつい売上げから拝借(はいしゃく)してしまうことは、
読者の皆さんだったら、一度や二度は経験しているだろう。
ただ、これらの場合に限っては売上げを誤魔化(ごまか)していないので、
速やかに現金出納帳との差額を補充しよう。
第4話でも述べたが、要は、イニシアチブの取り合いなのである。
税務署員としては、
現金出納帳と現金が合わない→こいつは信じられない→もっと細かく調査すればボロが出る→追徴課税まで行ける、
となるのだ。
前書きが長くなったが、ここでのポイントは2つ。
1つは現金出納帳の金額と、現金の金額をピッタリにしないこと。
100円単位の誤差は、あった方が自然だろう。
そして2つめは、現金出納帳をバインダー式の物にすることだ。
理由は簡単。
数字は何も先々月や、その前まで遡(さかのぼ)ってまで数字を合わせる必要がないからだ。
直近の分のみ合っていれば良いのである。
つまり、何が言いたいのかというと、直近以外の分は取り外して税理士さんに預けてしまえ、ということだ。