理容師カフェ‐小さな理容室の販促物語‐

家族経営の理容室が日々、行なっているちょっとした宣伝事例を情報共有します。

世代交代が失敗したヘアサロンの話

こんな話を聞きました。

以前、お世話になっていましたヘアサロンの事なのですが、

何気なくホームページを拝見してみますと、スタッフが大量に退職する事が窺い知れます。

店長クラスのスタッフがゴッソリと。

で、心配になったので各方面に聞いてみますと、とある原因が浮かび上がりました。

一言で説明しますと、創業経営者から後継者へのバトンタッチの失敗となります。


ちょうど弊誌サロンオーナーでは後継者に求められる事柄に触れている連載があり、

そのサロンで起こった事例に照らし合わせて考えてみました。

すると、なぜバトンタッチに失敗したのかと言う点が、オイラなりに理解できます。

そもそも創業者と後継者では、行なうべき戦略は違います。

得てして、何かを作る事にスポットライトがあたりますが、

実は、それ以上に残す、もしくは守る事の方が難しく、しかも地味なのです。

後継者が行なうべき戦略は、まさに後者そのもので、

だからこそ、創業者とは違う能力が求められると考えます。

となれば、当然そこには取り組む方法も違ってきます。


よくあるケースとして、後継者が創業者と比較されることで、いらだちが高まり、

そして結果を早急に求めてしまい、失敗してしまう。

だから、余計にイライラしてしまい、経営判断を誤る。その繰り返し。

創業者と後継者が血縁関係にあれば、当然、性格が似るケースもあり、

となれば、考え方や行動手段も同じであると思うのです。


事実、冒頭のサロンでも「性格が似ているんですよ、あの2人は」

という創業者と後継者についての話も聞こえてきました。


オイラ自身も理容店の後継者的な立場にあります。

後継はしませんが、経営者である母親から妹への後継に際して、

いくつかの提案を行ないましたが、なかなか思った通りに進みません。

そして、焦れば焦るほど世代間で溝が深まってしまいました。


連載企画で数多くの事を教えてくれるMrトータニは後継者が考える事の一つとして、

創業者イズムが満ちたサロンやお客さまを、どのようにして徐々に自分のカラーにするか、

そこを達成する事が、まずは後継者の仕事であると言います。

また、与えられた経営資源を減らさない、これが重要であり、

となれば、創業者と比較をしない、

創業者の経営戦略が絶対ではないと自覚することも、必要ともしています。

そして何よりも、焦りは禁物。


さて、そのサロンは今、1店舗の閉鎖が予定されており、

しかも支店の売り上げは人件費が支払えない位まで減少し、

さらには、中堅スタッフの多くが退職してしまい創業者と新人、

もしくはアシスタントクラスでサロンワークをこなしています。

後継者の意見によって行なわれた2店舗分のリニューアルに伴う借金だけが残り、

返済の目途もなく、そして何よりも、後継者が独立するという最悪の結果となりました。

この話から理解できるのは、バトンタッチの難しさ、

そして、後継者の経営判断次第で、こうも簡単に崩れ去ると言う現実。

残す事、守る事の難しさを痛感しました。


数年前、スタッフ全員でヘアスタイルの撮影を行なったのですが、

その結束力には驚かされ、スタッフ同士、非常に仲が良かったのですが、

それも過去の話。


だかこそ、後継者に焦りは禁物。

焦らない焦らない…焦るなオイラ。

自分自身に言い聞かせるように書いてみました。